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陶芸家 江口 滉氏の面目

 

    けれんなく明快に完結したフォルムと量感は、一見そっけなく

すがすがしい。

    したたかなバックボーンに支えられた発想と造形の腕の確かさは、わざの冴えとか、小味な風情などといったありきたりを拒む。

 私達が日常生活の中で強いられ、慣らされ、変貌を余儀なくされた部分が果して人間本来の自由な選択であっただろうか。

 また文明の物化と渇望の同時深化に、陶芸が果し得る部分は何か

といった事柄に彼の関心は集中する。

 彼の著書「陶芸入門」もそのような理念の所産であろうかと思います。

 とまれ、現実をより深く認識するが故に武骨なロマンチスト・

江口滉氏の作品は人々の生活のど真中にどかんと座るに価するものだと思います。

 また使い手との拮抗の中で、更に生き生きとした”物とのかかわり”を果し得ると信じます。

 

西中 博 (洋画家)

 

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