陶芸家 江口滉
旅行のついでに 各地のマンホール
ときには下を向いてあるこう
大原美術館は、JR倉敷駅から15分ほどのところにある。
この道は、歩道が少し広めに取ってあって、辺りの店先などを眺めながら、ゆっくり歩くのに都合がよい。
この歩道の所々に、藤の花をあしらったマンホールがある、これには彩色までしてある。
初めてこれに気がついたとき「なかなか洒落た趣向だな」と思った。
何年前になるのか、大阪の鶴見緑地公園で「花と緑の博覧会」というのがあった。
博覧会のメインゲートを入った所で、この催しのためにわざわざ作った花模様のマンホールを見た
「こんなところまで配慮しているのか」といささか驚いたが、そのときそう思っただけで
どんな花模様だったのか、今ではすっかり忘れてしまった。
ある年、親しい友人たちと鳥取へ旅行した際、城跡の側の県立博物館の前の道で
この地方の郷土藝能「傘踊り」の傘を図柄にしたマンホールを見つけ、カメラに収めた。
その後、他都市へ出かけるときは、なるべく足元にも注意を払うようになった。
山形県上山市には、へのへのもへじの案山子のマンホールがあった。
山形市では紅花が、佐賀市のは有明海のムツゴロウ、洲本市は水仙。
徳島県鳴門市では、市のマークなのかも知れないが、真ん中に小さな渦巻きがあって思わず笑ってしまった。倉吉では、椿の花だけでなく「躍動の町 耀く人・緑」とキャッチフレーズ入りのがあった。
京都の近くでは、亀岡市が亀、長岡京市は当然のことながらタケノコを、向日市はなぜか桜の花びらだ。
八幡市は、ハトが八の字状に向き合っている。
八幡宮の門に掲げられた扁額には、鳩が向かい合って八の字になっている。
この他にも、さまざまなものがあるが、多いのは花柄だ。
タンポポ、ツツジ、アヤメ、ユリ、バラ、ボタン等々
ちょうちょ、蛍、バッタなんてものもある。
旅行のついでに、時には足元に注意を払って、下を向いて歩こう。